老後が遠い将来の話であるという認識は問題の先送りに過ぎず、結果的に住みづらい家で生涯を閉じる可能性があることにもっと関心を払うべきでしょう。仮に一次取得の時点では予算が足りないというのであれば、いずれ行うことになる加齢対応のリフォームを考慮に入れてローンを組み、住まいそのものがリフォームを受け付けるつくりになっているかどうかを、十分に見極めておく必要があります。平均寿命が男女ともに延びて世界に誇れる国になったことは、日本人にとって喜ばしいかぎりですが、寝たきりで自由に行動できない長寿よりも、元気で笑顔が絶えない老後を過ごしたいと思うのは、ごくふつうで自然な願望です。
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日頃は元気にピンピンしていて、死ぬ時はコロリと逝きたいという意味の「ピンピンコロリ」という標語が長野県にはあるそうですが、まさに理想的な死に様と言えるでしょう。そうした最期を実現するには、やはり日常を大切にしなければなりません。文化水準のバロメーターとなるのは、衣・食・住のバランスだと言われていますが、他の先進国に比べても日本では住宅環境の水準が低く、高齢化社会を支えているのが高度な医療と健康ブームであり、精神面での癒しを与えてくれるはずの住まいはどうあるべきかという問題については、これまであまり話題にされてきませんでした。住環境の貧しさが反動となって健康ブームの盛り上がりを支えているのなら、それは皮肉でしかありません。