質屋業界は長く閉鎖的で安定した世界だっただけに、そんな斬新なやり方には慣れていないのです。丹野さんのその行動力には、私も驚いたくらいですから、先輩の気持ちもわかります。その先輩だけではありません。実は私も、最初に出資していただくお話があってから、1年近く悩んだのです。外資などの大手資本が対抗勢力として参入してこないかという不安の他に、やはりそれなりにいい給料をもらってましたし、経営に興味こそあるものの果たして自分にできるのか、という不安もあったからです。とはいえ、同時に、もう戦国時代は始まっているという認識が、私のなかにはありました。さらに、「もしかしたら辞めて独立するかもしれない」と漏らしたとき、4人の部下が「どんな状況になってもついて行きます」と言ってくれたのです。もちろんうれしかったし感激しました。が、正直言うと、同時に「しまった」とも……。「やってやりましょうよ!」なんて言われると、もう後に引けないじゃないですか。でも、経営にはそういった運のようなものが必要だと思うんです。出資していただけるという会社があり、独立当初から4人のスタッフがいて、店舗も普通の中小企業ではなかなか押さえられないようないい物件がみつかった。いつの間にか必要なコマが揃っていました。これは運だし、大きな波。乗り遅れてはいけないと思いました。そして、A店で店長になって1年後、27歳で退職し、独立したのです。